インデックスファンドのトラッキングエラーはどこから生じる?その1

こんにちは。YUMAです。

インデックスファンドには連動対象であるインデックス(ベンチマーク)にぴったり連動することが求められています。

対象インデックスと値動きが近いほど優秀なインデックスファンドとされます。値動きのズレをトラッキングエラーと言いますが、これをいかに小さく抑えられるかがインデックスファンドマネージャーの腕前です。

しかし、世の中のどんなファンドも決してトラッキングエラーをゼロにすることは出来ません。

どんな要因でインデックスファンドのトラッキングエラーは生じるのでしょうか?

株式のインデックスファンドを例にしてリストアップしてみますね。

この記事の続編はこちら↓

要因:コスト

連動対象となるベンチマークはインデックス・ベンダー(指数の提供会社)が決まったルールに基づいて算出します。実際のインデックスファンドはそれに連動するようにポートフォリオを運用する、すなわち株式を市場で売買する必要があるために取引コストがかかってしまいます。

ベンチマークは計算上の数値なので取引コストはゼロです。したがって、取引コストの分だけ必ずインデックスファンドはベンチマークに劣後(値動きが下振れ)します

課税についても同様です。

日本籍のファンドが外国株に投資するとき、保有する外国株が受け取る配当金には配当課税が課せられます。また、ファンドが株式を売却したときに利益が確定された場合には、キャピタルゲイン(譲渡益)課税が課されます。これら課税関連のコストは多くのベンチマークでは考慮されていないので、課税コストの分だけ必ずベンチマークに劣後します

そのほか、実際の売買を市場で行うとき、小型株や流動性が低い銘柄ではトレードインパクトがかかってしまうことがあり、インデックスファンドが銘柄を売買するときに不利に働きます。

要因:ポートフォリオの複製精度

ベンチマークに連動させるためにインデックスのファンドマネージャーはポートフォリオの中身を可能な限りベンチマークに合わせます。完全法であれば、ベンチマークに含まれるすべての銘柄を保有し、A社の構成ウェイトが1.50%であれば、自分の運用するポートフォリオでもA社のウェイトを1.50%ピッタリにします。

完全法についてはこちら↓

しかし、中には売買単位が1000株単位などと定められている銘柄があったり、値嵩株(株価の値位が高い銘柄)があったりするので、細かい保有金額まで合わせることができず、ウェイトがピッタリと合わせられないこともあります。

また、外国株の中には「外人保有規制」があって、日本籍のファンドではそもそも保有が禁止されていたり、十分に保有ができなかったりする外国銘柄もあります。テレビ局や航空会社、インフラにかかわる銘柄でときどき外人保有規制が見られます。

こうなると、完全法でポートフォリオを運用していても少しずつベンチマークとの乖離が出てくるため、値動きに関しても若干のズレが出てきてしまいます。

要因:ファンドの資金流出入

実際のインデックスファンドでは、投資家による新規の買付(設定)や売却(解約)が日々行われています。実際の例で考えてみましょう。

仮にあなたが、保有しているファンドを売却したら、ファンドマネージャーはあなたの解約対応のためにファンドの株式を売って解約資金を用意する必要があります。

ファンドのポートフォリオをベンチマークと合わせたまま、形を崩さずに全銘柄を丁寧に売却して現金化したいところですが、実際には株式市場がお休みの国があったり、制約があったりしてきれいに売ることができない場合があります。今日売れないなら明日売ろうとなるのですが、「あなたが解約した基準価額の時点」と「ファンドが株式を売却した時点」が1日ずれてしまうと困ったことが起こります。あなたは昨日の株価が高い時点の基準価額で売却したのに、ファンドは今日株価が下がった時点で株を売ってしまっているので、あなたのために十分な現金が作れていないかもしれません。

基準価額と株価の時点については以下で整理しています↓

それならば、最初から少し多めに株を売って現金を用意しておこうとなったり、追加で株を売って解約金の足しにしたりするので、一時的には思った通りのキレイなポートフォリオを維持できなくなってしまうのです。

 

いかがでしょうか?

トラッキングエラーが生じる要因は、大きく分けると「コスト」と「ポートフォリオの形がベンチマークから乖離する」「投資家による資金の流出入」という3点ですね。実際はほかにもまだあるんです。

が、ちょっと長くなってしまったので続きは別の記事にしますね!

それではまた。