インデックスファンドのトラッキングエラーはどこから生じる?その2

こんにちは。YUMAです。

今回は前回の続きです。

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要因:キャッシュ比率

ファンドは必ずキャッシュを持ちます。

例えば、純資産90億円のファンドに新たに10憶円の設定(資金流入)があった場合、そのままキャッシュを保有したままにしておくと株式の組み入れ比率が90%に下がってしまいます。これではベンチマークが10%上昇してもファンドは約9%しか上昇しませんので、ベンチマークに連動できませんね。

それでもファンドは常に少しのキャッシュを保有します。キャッシュを保有する理由は様々です。

  • 信託報酬が未払い金として毎日引かれる

信託報酬が年率1%のファンドであれば、毎日(1/365)  %が純資産、つまり基準価額から引かれます。365日に分けて引かれるので、投資家は土日も信託報酬を払い続けています(土日分は月曜の基準価額にまとめて反映)。日々の信託報酬は「未払い金」として少しづつ計上され、ファンドが決算を迎える日に一気に(年1回決算のファンドなら1年分の信託報酬が1日で)引き落とされます。基準価額からは毎日少しづつ引かれていますが、あくまで未払い金としてであって実際の支払いは決算日です。この引き落としのためにファンドはキャッシュを用意しておく必要があります。

  • トレードの際のバッファ

ファンドマネージャーはポートフォリオの形がベンチマークと同じになるように計算しながら株を売買します。このとき、単位株や取引コストの影響などで売りと買いでピッタリ同じ金額の買付はできないため、少し余裕を見て買いを少なめにするか、買い過ぎになっても資金ショートしないようにあらかじめキャッシュを用意しておく必要があります。

  • コストの支払いのため

取引コストもありますが、配当課税や口座維持手数料などの諸々のコストは不定期で発生します。ファンドから引き落とされるので、常にファンドは余裕をもって少しキャッシュを保有しています。

要因:未収配当金

ファンドで保有している銘柄が配当落ち日を迎えると、株価が配当落ちするのと同時にファンドには未収配当金が計上されます。未収配当金については以下の記事をご覧ください。

未収配当金は「未だ受け取っていない配当金」なので、言ってみれば「未だ使えないキャッシュ」です。

キャッシュと同じような扱いなのに、株の買付に使うことができないので、単純に株式の組み入れ比率は下がってしまい、ベンチマークに連動しにくくなります。

解決方法:先物の利用

今回述べた要因はいずれも、ファンドがキャッシュ(もしくは未収配当金)を保有することで株式の組み入れ比率が下がってしまうことに要因があります。

これを解決するのが先物です。

株式先物であれば、キャッシュがなくても証拠金だけ用意しておけば、株式の組み入れ比率を上げることができます。

例えば、純資産100億円のTOPIX連動ファンドが未収配当金を2憶円計上しているとします。これでは限界まで株式を買い付けても98億円しか株を保有できませんので、株式の組み入れ比率は98%となってしまい、TOPIXが上昇する局面ではベンチマークに追随できず、逆にTOPIXが下落する局面ではベンチマークほど基準価額が下落しないことになります。

この場合、連動性を高めるために2億円分のTOPIX先物を買い建てます。つまり、未収配当金を埋めるようにTOPIX先物を買えば良いんですね。

  • 現物株式が98憶円
  • TOPIX先物が2億円(証拠金は別途必要)
  • 未収配当金が2億円

こうすれば、おおよそ100%の株式組み入れ比率を維持することができます。

「お金がなくても株式リスクがとれる」という先物の特性を利用するんですね。

 

今回はキャッシュ関連の要因、つまり株式の組み入れ比率が下がってしまうことによるトラッキングエラー要因をまとめてみました。

この手の要因は先物を利用すればかなりの部分が対応可能です。TOPIX連動ファンドであればTOPIX先物、日経平均連動ファンドであれば日経平均先物を使います。

ただし、外国株ではMSCIコクサイに連動するファンドが多いですが、MSCIコクサイ先物というのはないので、S&P500やEURO STOXXや個別の国の先物など、複数の先物を組み合わせることで何とかベンチマークに近い値動きを目指すことになります。

トラッキングエラーの要因シリーズ、その3に続きます。

それではまた。