株主優待って投資信託ではどうしてるの?株主優待が生む利害関係を考える

こんにちは。YUMAです。

個別銘柄に投資するときに意識するのが株主優待ですよね。

色々な優待が届くのを楽しみにしたり、むしろ株主優待を目当てに銘柄選定をしたりする方も多いと思います。
配当利回りだけでなく、株主優待も金額換算して実質的な利回り(株主還元利回り)を気にされている方も多いでしょう。

今回は投資信託における株主優待について書いてみます。
また、株主優待制度によってどのような利害関係が生じるかを考えます。

ちなみに、私は勤務先のルールで個別銘柄に投資はできません。
株主優待をもらったことは一度もないのです。。。(´;ω;`)

株主優待は日本だけ

株主優待は日本特有のものです。

最近、米国などではそもそも配当さえも出さない企業が多くなってきています。
株主還元としては自社株買いが主流になってきているんですね。

日本における株主優待の起源を調べてみたところ、鉄道会社が元祖だという説が濃厚だそうです。

鉄道会社が自社路線の乗車券を株主に配布したことが優待の起源のようで、その後、観劇チケットや自社商品の詰め合わせなど導入企業・対象商品も広がっていき、現在では上場企業の3分の1が優待制度を導入するに至っている。(さわかみ投信株式会社HPより)

会社は誰のものか?という問いに「会社は株主のモノ」と答える人がいます。
株主のモノであれば投資先企業のサービスをディスカウントで使わせてもらうというのは自然ということだったんでしょうね、昔は。福利厚生かよ。
(ちなみに会社は株主のモノだと平然とのたまう人は私は嫌いです)

まあ、企業にとっては自社の製品を個人投資家に広告し、アピールできると同時に、優待目当ての投資家には長期保有を促すきっかけ作りにもなりますから、悪くない制度かもしれません。
加えて、企業側からすれば株主優待の分は売上控除もしくは費用計上できるので、節税的な意味合いも出てきます。
自社製品PRと合わせて、まさに一石二鳥ということでしょう。

ただし、最近では商品券・クオカードなど、投資先企業の製品とは直接関係ないようなものも優待の品となっていますね。
そういう商品のほうがありがたいという個人投資家も多いのでしょうが、それだと本来の目的からもずれてきていて、よくわからない都合の良いだけの制度になってしまっている気もします。

投資信託で受け取る株主優待の行方は?

投資信託はたくさんの企業に投資しています。
TOPIX連動のインデックスファンドであれば東証一部上場の約2,000社に投資します。

それらの投資信託が受け取る株主優待はどうなっているのでしょうか?

よもや、運用会社がネコババしているわけではありませんよね?

投資信託協会の解説によれば以下のように処理されています。

「◆個別に換金する市場が存在するなど容易に換金できるもの、 ◆基準価額に影響するなど受益者の利益のため必要と判断されるもの、について は、受託銀行と協議の上、換金して投資信託財産に繰り入れることができる。 これ以外のもので、株主優待物等を一括して換金できる場合は、受託銀行と協議 の上、恣意性を排除した一定の配分方法により信託財産に繰り入れることができ る。」とされています。 即ち、換金できる優待物はできるだけ換金をして、基準価額に反映するというこ とです。

まず、株主優待を受け取るのは運用会社ではなく、証券の保管管理をしている信託銀行です。

四季報などで企業の株主上位をチェックしてみると、多くの企業で信託銀行が名を連ねています。

これは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとした多くの機関投資家や、インデックスファンドなどの投資信託などが投資・保有している株券は、保管管理をしている受託銀行(信託銀行)の名義が株主として表記されるからです。

したがって、株主優待を受け取るのもそれらの信託銀行となります。

で、投信協会によれば、それらの信託銀行は受け取った株主優待を「可能な限り換金して信託財産に入れている」とうことなんですね。
投資信託は、大勢の受益者を平等に扱う必要があるため、フェアに信託財産に反映させるにはこれしかないんです。

どこで換金をしているかは私も知りません。
大〇屋などのチケットショップとかに引き取ってもらうのでしょうか。。

でも、ちょっと待ってください。
そうはいっても優待の中には、換金できないようなものもありますよね。食品などもあります。
このようなものは、優待の受け取りを辞退できなければ、寄付するか処分するかしかないんです。

投資信託の受益者を平等に扱う、これが最優先なので、このような対応とならざるを得ないのです。
少しもったいない気もしますね (´;ω;`)

株主優待で得する人?損する人?

ここまで見てきて一度整理してみましょう。
株主優待という制度で恩恵を受ける人、反対に損害を受ける人はどのような人たちでしょうか?

  • 個人投資家は株主優待をもらえてハッピー
  • 企業は自社を宣伝広告しながら費用計上できてハッピー
  • 投資信託は換金できればハッピーだけど、できないものは、、、ん!???

そう、投資信託に投資している投資家は損をしていることになるのです!!

なぜなら、本来受け取れる株主優待を、投信では平等に分配できないという理由で一部換金されていまい(足元を見られて買い叩かれているかも)、寄付や処分されたりして、基準価額に十分に反映されません。
要は投資信託の保有者は株主優待の権利を「捨てている状態」なのです。

海外投資家も同じです。
株主優待を海外に発送する企業は少ないですし、そもそも外国人にとっては価値がないような優待も多くあります。
そのような海外投資家は本来受け取れる優待分の権利価値を放棄していることになります。

これって本当に良い制度なのでしょうか?

投資信託は受益者を平等に扱おうとして精一杯の対応をしているのに、肝心の株主優待制度そのものが投資家を平等に扱うことができていないという矛盾を孕んでいるのです。

まとめ

投資信託の場合、裏では受託側が株主優待を可能な限り資金化し、できるだけ基準価額に反映させています。
ただ、そうはいっても換金できないものも多いでしょう。

通常、投資信託に投資している投資家は株主優待を意識していません。

実は、ファンドマネージャーも自分で投資している銘柄の株主優待なんてほとんど知りません。
業績予想とかバリュエーションが気になっています。

株主優待の話が盛り上がるのって個人投資家だけですよね?

普段まったく意識されませんが、個人投資家と株主優待の実施企業を除くほとんどのステークホルダー(関係者)、すなわち、投資信託を保有する投資家・機関投資家・海外投資家は株主優待制度によって損を被っているのです。

スチュワードシップコードとかコーポレートガバナンスコードとかを叫ぶ以前に、まず株主優待制度を廃止することで投資家の利益を多少でも保護できるのではないかと思います。
ぜひとも考えていただきたいものです。

それではまた!