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インデックスファンドのトラッキングエラーはどこから生じる?その3
こんにちは。YUMAです。
トラッキングエラーの要因シリーズ第3弾です。
これまで2回にわたって、トラッキングエラーが生じる理由を記事にしました。過去には主に「ファンド側の要因」を取り上げましたが、今回は「ベンチマーク側の要因」にも触れたいと思います。
配当の即時再投資
投資信託が受け取る配当は、純資産に未収配当金として計上されます。未収配当金はやがて貰える配当金だけど今は使うことができない現金です。詳しくはこちら↓
ベンチマークは計算上の数値ですから、未収配当金などを気にする必要はなく、常に株式100%を保有していることになっています。
そうすると、仮にベンチマークと寸分違わぬポートフォリオを運用していたとしても、ファンドだけには配当落ち日に未収配当金がドカッと計上されます。その未収配当金が例えば2%分だったなら株式の組み入れ比率は一気に98%まで落ちます。2%の未収配当金は株が上がろうが下がろうが値動きはありませんので、株式100%のベンチマークと値動きがズレてしまいます。
ベンチマークは常に株式比率100%、ということは言い換えれば、
配当の権利を受け取ってから入金まで通常1~3ヶ月かかります。そのタイムラグがないというのは羨ましいですが、実際の運用は不可能ですよね。その間、投資信託は先物を使ったりして何とか株式比率を100%に近づけます。
インデックスの美しすぎるリバランス
インデックスは指数算出会社のルール通りにポートフォリオをリバランスするので、全てはデータ処理の範疇です。ファンドマネージャーが複製を狙って、実際にマーケットで売買しても仕方ない差違が出てしまいます。
資金繰りが考慮されない
例えば、MSCI World インデックスの定期リバランスによって、日本株のウェイトが減ってアメリカ株のウェイトが増えたと仮定しましょう。
ファンドマネージャーはこれを複製しようとリバランス日の大引けを狙って、ベンチマークの構成ウェイトにしたがって日本株の売りとアメリカ株の買いを同時に行いたいところです。
しかし、思い出してください。
アメリカ株の決済サイクルはT+2で、日本株はT+3です。
来年から日本株もT+2になります。決済サイクルについてはこちら↓
つまり、日本株を売ったお金を使ってアメリカ株の買いに充当することはできないんです!1日だけお金を借りてこなきゃ足りませんからね。
このあたりの「資金繰りがしっかり回るか?」というのを指数算出会社は気にしなくて良いですが、
買いを1日遅らせたり、先物を使ったり、決済サイクルをブローカーと話し合って変えてもらったりと、色々な対処方法がありますが、何らかの形でトラッキングエラーの要因になります。
祝日の考慮がない
今日はリバランスの日なのにxx国は市場が開いてないじゃないか!なんてことは日常茶飯事です。トレードしたい国が休みなら前日にトレードを済ませることになると思いますが、そもそも日本が祝日だったらどうでしょう?
事前にトレード案件を作っておいて「明日の大引けでこのトレードしといて!」ってブローカーに頼むことはできます。けど、トレード前に市場が大きく動いてしまうかもしれません。そしたら、当初考えていた売買株数も変わってしまいますよね。
売買停止銘柄の除外
世界中の株を見渡せば、1週間や1ヶ月もの間、何らかの理由でトレードが停止になっている銘柄はゴロゴロあります。こういう銘柄が指数から除外されると、ファンドマネージャーは売りたくても売買停止中なので売れません。
ベンチマークはあくまでデータ上の計算指数ですからポチっと除外にできますが、実際にファンドではしばらく保有し続けなくてはならない状況もあります。
まとめ
インデックス算出会社はルール通りに銘柄入替やリバランスをして、実績データからリターンを計算すれば済みますが、現実の世界で生身の人間がトレードしようとすると面倒な事情もあります。
完璧にトレードができないまでも、先物を使ったり、取引所外取引を使ったり、色々と工夫の余地はあります。
そういう裏方の泥臭い仕事こそがインデックスファンドのファンドマネージャーの真の価値なんだと思うのです。
それではまた。