コロナの影響で配当基準日が変更。配当落ちしたのに配当が貰えない事態に

こんにちは。YUMAです。

新型コロナウイルスとそれに伴う緊急事態宣言による外出自粛など、生活に様々な支障が出ており、窮屈な生活を余儀なくされています。ただ、新規感染者数や政府の動きを見ていると、この事態ももうすぐ落ち着きそうな雰囲気は出ていますね。

さて、このような状況だからこそ、株式市場を取り巻く環境にも普段はめったに起こらないことが起きています。

例えば、決算発表の延期です。今まさに決算発表シーズンですが、延期して発表した企業もすでに一定数ありますし、今後およそ数百社の企業が決算発表を延期すると見込まれています。

決算発表だけでなく、株主総会の延期も見込まれます。

株主総会が延期されると配当の権利に影響が出るかも

株主総会が延期されると何が問題かと言えば色々あるのですが、配当を貰える基準が変わってくるというのがインパクト大ですね。

配当は会社が定めた基準日時点の株主に支払う。3月期決算企業であれば、通常は3月末時点の株主だ。しかし、株主総会を延期すると、取締役会の決議で剰余金を配当することができる一部の企業を除いて、この基準日も変更しなければならない。会社法の定めにより、株主としての権利が行使できるのは基準日から3カ月以内とされているからだ。

ということなので、株主総会が延期されると、配当が貰える基準日と株主総会の間が長くなります。これが3か月以上空いてしまう場合には、やむなく基準日も後ろ倒しに変更するしかないのです。

例えば、8月下旬まで株主総会を延期した場合、基準日は8月下旬から遡って3カ月以内の、5月下旬以降に変更しなければならない。

ということですね。

これは何を意味するかと言えば、3月末―1営業日に配当落ちで株価が下がったのに、後出しじゃんけん的に「いえ、あのタイミングでは配当権利は確定していませんでした」という事態になりえるということです。

通常の3月末決算の企業の配当を受け取れるのは権利確定日(3月末ー2営業日)にその銘柄を保有していた投資家なので、翌日となる配当落ち日(3月末ー1営業日)には配当分だけ価値がなくなり株価は下落します。そのときの株価は市場でつけられるため、投資家が配当落ち分を反映して安く取引するからです。

しかし、これが後になって配当基準日を仮に4月末に変更されてしまうと、「あのときの配当落ちはなんだったんだ?」という話になります。

配当を受け取れると思って配当落ち後に株を売却した投資家は、「え?配当貰えるはずだから売ったけど配当落ち後の安い株価で売って配当ももらえないの?」ということになります。困りますね。。

配当基準日が変わった銘柄は?

どの銘柄が基準日が変わっちゃったの?

大和総研のレポート(PDFが開きます)によれば4月30日時点で以下の銘柄の株主総会の延期が発表されています。

このうち、決算期末日と配当基準日が一致しなくなった企業はナンシン、サンリツ、オリンパスの3社です。

他の銘柄は株主総会が延期されても配当基準日を変更する事態にはなっていません。

投信の基準価額にはどう影響するかを推測

投信の基準価額に配当はどう影響しているか?詳しくは以下をご覧ください。

配当が貰える権利が付くと同時に配当落ちするので、基準価額に経済的な価値をそのまま反映するために未収配当を計上します。

つまり、銘柄Aの株価が配当落ちしても、同時にそれを補う形で銘柄Aの未収配当(後で入金される配当)を純資産に計上するので、基準価額は配当落ちによる株価下落(不連続な下落)を反映して下落しないのです。

しかし、計上したはずの未収配当ですがその配当が貰えない事態になった場合はどうなるのか?

ここからは私個人の推測の域ですが、計算根拠となる取引所の扱いを見てみます。

JPXからは5/13付で以下のような発表がされています。

【配当落の取扱いについて】
配当基準日が変更された場合における変更後の基準日に関しても、以下のとおり、通常の配当落と同様の処理を行います(過去の事例と同様の取扱いとなります)。
-変更後の配当基準日の前営業日(以下「配当落日」という。)以後の売買について、「配当落」として取り扱うものとします。

JPXの取り扱いによれば、3月末-1営業日に配当落ちした銘柄の配当基準日が変更された場合、もう一度その配当基準日で配当落ちさせるということになります。

このままだと、2回配当落ちしてしまうので、投信の基準価額の計算の際には配当修正が行われるのではないかと思います。

つまり、まとめると、

  1. 3月の権利確定日翌日に株価は配当落ち→投信では未収配当を計上
  2. 配当基準日変更により配当権利がなくなる→投信では未収配当の修正(減配と同じ処理)
  3. 変更後の配当基準日に再度配当落ち→投信でも再度未収配当を計上

のような処理になると考えられます。

よく分からないのが2の処理をどのタイミングでやるかということですね。

このような前例があるのか分かりませんが相当に珍しいことだというのは確かですね。

最終的にどのような処理がなされたのか、どこかの運用会社が報告してくれるか分かりませんが個人的には知りたいところではあります。

いずれにしても、配当基準日を延期する銘柄がそこまで多くないのと、配当の金額も大きくないことから投資パフォーマンスに大きな影響はないと言っていいでしょう。

それではまた。