テレワークが可能な仕事は給料が高い!格差はここにもあった

こんにちは。YUMAです。

東京も緊急事態宣言解除まであと少しですね。朝の通勤電車には人がだいぶ戻り始めてると聞いてるので、また満員電車通勤に戻るかと思うと気が重くなります。

と言うのも、私は緊急事態宣言と同時にテレワーク(在宅勤務)となり、そのまま1ヶ月以上も出社していないのです。

今回はコロナ危機によってはからずも普及したテレワークについての面白い研究結果を紹介します。

職種によって全然違う!テレワークがしやすい仕事

職種によって違うのはイメージ通りですね。実際どんな仕事がテレワークに向いてるんでしょうか。

今回はこちらの記事を読んでグラフを抜粋してきました↓

もともとの研究論文はこちらです↓

How Many Jobs Can be Done at Home?

Jonathan I. Dingel, Brent Neiman

NBER Working Paper (April 2020)

簡単に研究の内容を説明すると、彼らは米国でアンケート調査をもとにしてテレワークがどの程度可能かを職種ごとに調べました。

ここで注意すべきは、テレワークを実際に行っているかということを調べているのではなくて、テレワークをしようと思えば可能かどうかを調べているということです。

実際には「私の仕事のほとんど全部はテレワーク可能だけど、こういうことが起きたら出社しなきゃならない」といった識別困難な例外的なことは一旦無視した調査のようです。

したがって、彼らの調査はテレワーク可能かどうかの「上限値」を測っていると言ってよいでしょう。なので、ここでは最大でどの程度の割合の仕事がテレワーク可能かどうかを考えるものとしましょう。

彼らの調査によれば米国では平均的に37%の仕事においてテレワークが可能だと結論付けています。

しかし、何事も平均的な数値だけでは実態は見えてきません。実際のデータを見てみましょう。

この結果は都市部の話になりますが、グラフ一番上の職種のシェアが大きいProfessional, Scientific, and Technical Services(技術・サービス関連) は、テレワークが使えない仕事が20%です。つまり、80%の仕事はテレワークが可能だということを示しています。

(左)テレワークが使えない仕事のシェア

その次にシェアの大きい、Health Care and Social Assistance(ヘルスケア関連)は75%の仕事がテレワークにできない、つまり25%の仕事しかテレワークに移行できないことを示しています。

次いで、Educational Service(教育関連)は20%程度がテレワークなしでの仕事なので、ほとんどの仕事はテレワークに移行できることを示しています。

テレワークできる仕事が多い職種と少ない職種のランキング

全体を見てテレワークが使いやすい仕事とどれでしょうか?同じ結果をランキングにしたものを示します。

テレワークに移行できる仕事のシェア(Unweighted=件数ベース、Weighted by wage=賃金加重ベース)

テレワークに移行しやすい仕事は、教育関連、技術・サービス関連、会社経営、金融・保険、情報系となっています。

反対に、テレワークに移行できるシェアが小さい仕事は、ホテル・食料品、農業・漁業系、小売り、建築、運輸・倉庫となっています。

イメージ通りでしょうか?

割合が低い方はいわゆる肉体労働に近い職種なのでイメージ通りですが、教育関連の仕事でテレワークが使いやすいというのはあまりイメージと合いませんでした。

おそらく、都市部の調査では教育といっても大学が多いのだろうと思われます。なので、オンライン授業のようなものが多く使えるし、中高でも日本よりはオンライン授業が導入されているのかもしれません。

多くの職種でWeighted by Wageの方がUnweightedに比べて割合が高めですね。これは同じ職種の中でも給料の高い仕事の方がテレワークに移行が容易なため、賃金加重すると数値が高くなっていると考えられます。賃金が高い=管理職になると、より意思決定や他者との調整がメインの仕事になるからでしょうか。

下っ端の現場従業員よりは管理職やエリアマネージャーの方がテレワークしやすいというのはイメージ通りですね。

テレワークのしやすさと給料の関係

ここで気づかれたのがテレワークへ移行可能な職業ほど給料が高いのではないかということですね。

実際、その通りです↓

(縦軸)テレワークが使えない仕事の割合 (横軸)職種の給料(中間値)

各職種ごとに給料を調べると、給料が高い職種ほどテレワークできない仕事は少なくなります。

つまり、さっきの結果と整合的で、給料の高い仕事ほどテレワークがしやすいという結果になります。

豊かな国ほどテレワーク導入が進んでいる

高収入の仕事ほどテレワークに移行しやすい傾向がある、ということが分かりました。

では、これを国ごとに見るとどうなるでしょうか?

(縦軸)テレワークに移行できる仕事のシェア、(横軸)国民1人当たりGDP

国の経済力の大きさであるGDPが大きい国ほどテレワークに移行可能な職種が多いことを示しています。

北欧や米国などが右上の方に、多くの新興国が左下に位置しています。

個人レベルでもテレワークに移行しやすい職種は高収入でしたが、国レベルでも豊かな国ほどテレワークに移行しやすい職種が多いということですね。

接触リスクを負うのに給料が低い

個人的には非常に不都合なデータというか、どう考えたら良いのか難しい気持ちになりました。

ウイルスの危機は収入金額や資産額によらず人間に平等に降りかかるというわけではないのです。

お金を稼ぐために勤務地に移動する人はテレワークする人に比べて感染リスクが高いわけですが、そのようなリスクにさらされている人の方が収入は低いということですから、これはある種の格差が生まれているということです。

感染リスクにさらされても給料で報われるわけではなく、むしろ高収入の人たちの方がテレワークに移行して感染リスクを下げることができるのです。

知力や思考力を要する仕事ほど付加価値の高い仕事だという言い方も可能ですが、やはり高収入の人でも病院やレストランや物流サービスの恩恵には預かるわけですから、そこで働く人々にそこそこ高い賃金で報いられてもよい気もします。

この研究を見てそんなことを思いました。

それではまた。