バフェット以外の全員がパッシブ投資家だったら?インデックス自体にも見えないコストはないだろうか?

こんにちは。YUMAです。

前回と同じくこちらの記事から面白い部分を紹介です。

バフェット以外は皆パッシブ投資家という思考実験

何が起こるのでしょうか?

前提ですが、パッシブ投資家は市場が正しいと信じており、どんな銘柄が含まれていようと市場をまるごとインデックスファンドとして売買することしかありません。個別銘柄は売買しません。

ただ、新たにインデックスファンドを買い付けたり、保有している持ち分を売ったりということはするので、そこにアクティブ性が生じてしまうことは前回考察しました↓

一方で、バフェットは全ての銘柄についてフェアバリューが分かっているという前提です。

なるほど。バフェットは市場(インデックスファンド)そのものがフェアバリューよりも割安と判断したらパッシブ投資家に対してインデックスファンドの買いを申し入れ、割高だったら売りに回るだろう、という結果になりそうですね。

パッシブ投資家が投資していない銘柄

それ以外にも興味深いことが起こります。それはIPO銘柄についてです。

IPO銘柄の公開価格は(神のみぞ知る)フェアバリューよりも過剰に低く設定されるアンダープライシングという現象があります。これによりIPO初日の株価リターンは平均的にとてつもなく大きくなることが知られています↓

ブックビルディング方式という今の日本で用いられる方法では、IPO銘柄の公開価格は主幹事証券が機関投資家にヒアリングしながら決めていきます。

「この銘柄、いくらが妥当ですか?」という感じでヒアリングするときに、パッシブ投資家はどう回答するでしょうか?

回答できません。なぜなら、パッシブ投資家は市場でつけられた値段を是とするからです。

では誰がヒアリングに答えてくれるか?

今の思考実験では、バフェットというただ一人のアクティブ投資家だけが価格を回答し、公開価格を決定することになります。

バフェットは大儲けする

バフェットはIPO銘柄の公開価格に好きな値段をつけることができます。

いくらをつけるでしょうか?

見積もったフェアバリューから様々なリスク(想定より業績が悪くなったり流動性が低くなったり、その他諸々の不確実性)を割り引いて、さらに自分の要求リターンを割り引いた価格をつけるでしょう。

その値段でIPOに応じます。この場合、バフェット一人だけが応じるのでIPO銘柄の公開株を全て取得することになるでしょうか。

そして、この銘柄が市場インデックス(例えばTOPIXやFTSE All World Index)に組み入れられるときにも、パッシブ投資家に対して好きな値段で市場で売ることができます。

バフェット一人だけが大儲けできるという思考実験ですね。

この思考実験における議論のポイント

ここからは私個人の意見です。

ファイナンス理論によれば、様々な前提の上では市場ポートフォリオが最も効率的ですが、現実にはそれらの前提がほぼ全て成り立っていません。

今回の思考実験でフォーカスされたのは「市場ポートフォリオとインデックスファンドは一致しない」という点です。

市場ポートフォリオを保有しているつもりでも、実際にはIPO銘柄は即時にはインデックスに組み入れられず、インデックスファンドを買うパッシブ投資家はIPO銘柄にしばらく投資できません。ちなみに、TOPIXであれば約2ヶ月遅れで投資することになります。

IPO銘柄がいざインデックスに組み入れられるときに、バフェットのように儲ける人と、パッシブ投資家のように言い値を受け入れる人の存在が際立ちます。

インデックスは本来の株式市場の成長率より劣っている

ここまで考察して何が言えるかと言えば、理論的な市場ポートフォリオと現実のインデックスが異なることによって、インデックスのリターンは理論的な株式市場のリターンに劣後している可能性があるということです。

インデックスのルールは取引所や指数ベンダーが決めており、とても透明性が高いものです。しかし、裏を返せば、インデックスファンドが指数に連動するためにどのようなアクションをとるか、もまた透明性が高い。言ってしまえば皆に筒抜けなのです。

これを逆手にとる人たちはわんさかおり、その人たちの儲けはインデックスファンドの投資家が等しく支払っているコストとも言えます。

まとめ

インデックスファンドのコスト競争が激しくなり注目を浴び続けていますが、実はインデックス自体にそもそものコスト要因が含まれている可能性はあります。

実質コストが低いから、トラッキングエラーが低いから、という理由だけに留まらず、本来の株式市場のリターンをしっかり享受できるインデックスなのか?という観点を考えていくフェーズにいずれ入ると思います。

それではまた。