資産成長とリスクヘッジを同時に考えるアセットアロケーションは難しい

こんにちは。YUMAです。

自分の資産をどこに投資するか?

最初のアセットアロケーションはその後の細かい意思決定より大事です。研究によれば最初の資産配分で運用パフォーマンスの8~9割は決まります。

資産配分を決める時に何を重視しますか?期待リターン(儲け)?それとも今自分が置かれている状況、すなわちリスクを鑑みてそれをヘッジしたり考慮したりしますか?

例えば輸入品やエネルギーの購買力低下をヘッジするなら為替ヘッジもあり得ます↓

今回はリターン最大化ではなく負債やリスクを考慮したポートフォリオについて考えます。

年金基金で使われるALMという手法を最初に紹介します。

年金運用におけるALMという考え方

ALMとはアセット・ライアビリティ・マネジメント(Asset Liability Management)の略です。

年金運用は退職者に年金を払うために積立金を運用するので、将来のどのタイミングでいくら支払いが必要かほぼ読めています。また、逆に今の現役社員からどれくらいの拠出金が入ってくるかも読めています。

入ってきたお金をどう運用するか?目一杯儲けられたらそれが良いのですが、リスクも伴うので話はそんなに簡単ではありません。

そこで年金基金の抱える負債に合わせてポートフォリオを組むのがALMの考え方です。シンプルな例で言うと、10年後と30年後にたくさんの支払いが発生することが読めているなら、残存10年と30年の債券に多目に投資して残り少しを株式に投資するといったイメージです。

こうすれば目標とする支払いに対してリスクを過大に負うことがない。つまり、年金基金のバランスシートにおいて右側(負債)に合わせて左側(運用資産)を決めていくというスタイルです。

個人と年金基金の違い

年金基金におけるALMの考え方は合理的です。必要以上に儲けても仕方がない一方で、年金原資が足りなくなれば事業会社(本社)からミルク補給が必要になってしまうので、負債に合わせて適切なリスクを取るべきです。

では個人にこれが応用できるでしょうか?これは難しい問題です。

個人の場合、将来に必要になるお金が読みにくいです。自分で自分に払う年金を決めてしまえば年金基金と同じで良いのですが、不測の事態も起こり得ますし、何より万が一積立不足になったときに事業会社(本社)からのミルク補給はありません。

年金基金はもし運用で失敗しても事業会社(本社)による追加の資金拠出が手段として残されているのでリスク許容度は高いとされています。

対して個人には色んなリスクがあります。

個人特有のリスクに合わせるならどんな資産を入れたら良いのでしょうか?

個人の抱えるリスクと対応策

個人投資家はリアルな世界で様々なリスクを抱えています。例を挙げてみます。

勤務先のリスク

勤務先の業績は少なからず給料に影響するでしょう。例えば、証券会社や運用会社は株式市場の上下によってボーナスが大きく変動します。自分ではどうしようもない要因なのに。公務員などはこのようなリスクは低いですね。

例えば金融業界に勤める人は金融株を保有しないとか、場合によっては株式自体を少なめに保有するといった対応があり得るでしょう。

資源依存のリスク

資源といっても馴染みがあるのはオイルですね。車や飛行機を自腹でたくさん使う人は原油価格が上がるとガソリン代や燃油サーチャージによる出費が増えます。

こういう人は投信やETFを通じて原油に投資するか、もしくは同じ動きをしやすい資源関連株を多めに保有することでダメージを相殺できるでしょう。

ローン残高のリスク

金利上昇によってローンの返済負担が大きくなってしまう人は金利上昇の恩恵を受けられるようなポートフォリオにするという考え方もあります。債券の空売りやインバース型投信は少し抵抗があるかもしれませんが。。

地政学リスク

他のブログでお見かけした例です。北朝鮮のミサイルが落ちるリスクを懸念している投資家は、アメリカの軍事関連株やETFに投資するのも賢明です。政治や経済が混乱するなかでは軍事関連銘柄は大きくリターンを伸ばすことになるでしょう。

ガチのリスク推定は大変

列挙すれば私たちはいくらでもリスクを抱えています。

これらを全て把握し、また何か想定外の事が起きたときに影響度合いを見積もっておくことは結構難しいです。

年金基金はプロなので自分達やコンサルなどを通じてリスク推定を徹底的に行うことができますが、私たち個人には限界があります。

ざっくりとポートフォリオに反映させるくらいが限度💦

そう考えるとやはりALMの考え方をきっちりと個人に応用するのは難しいでしょう。

私は金融業界に勤めておりボーナスが日本株市場に強く連動する傾向があるので、日本株をほとんど保有していません。

まあ、そもそも日本の景気もある程度株価と連動しますし、世界株のインデックスファンドの中の日本株のウェイトはせいぜい1割ほど。なので、ひとまず外国株だけで良いかなと考えた結果です。

こんな感じで、金融資産以外のリアルで特有のリスクを背負っている人は、気持ちだけでもポートフォリオに反映させてみると良いかも知れません。

それではまた。