レバレッジ商品は資産形成に向いてない、とは言い切れない

こんにちは。YUMAです。

最初に断っておきますが、レバレッジ商品が資産形成に向いているとは主張してません。ただ、レバレッジを否定する論理が酷いので、そこは誤解を生じないようにしてほしいと思って書いています。

レバレッジを批判する記事

山ほど見てきましたが、例えばこちらの記事はまともです。

レバレッジを活用した株式ファンドは株価が上昇しているときは良いが、サブプライム、リーマン・ショックのようなことが起きると悲惨な状況になる。そのような商品をバイアンドホールドする場合、暴落等のショックが来ないことを祈りながら保有し続けることになる。それゆえにレバレッジを活用した株式ファンドは長期投資・長期のバイアンドホールドが基本となる堅実な資産形成には向かず、あくまでも短期の売買向けの投機的な商品といえるだろう。

リスクが高い商品ばかりで資産形成をしてしまうと、この通り不安になってしまう人もいると思います。自分の取れるリスクと向き合って商品選択をすることは大事です。

一方で、こちら↓はあかん記事です。

金融庁の主張通りに説明されているので仕方ないのですが、まあミスリーディングな説明もありますね。

「減価に注意」といってるところが気になってしまいます。

指数が1日目に20%下落、2日目に25%上昇したパターンについて考えます。指数の値動きを考えると、2日間の変動の結果、2日目の終値は基準日と変わらずになります。一方で指数の倍の値動き、つまり1日目は40%下落、2日目は50%上昇したパターンを見てみると、変動の結果、2日目の終値は基準日から10%下落となっています。これはあくまで一つの例ですが、2日以上の値動きが起こると、パフォーマンスにずれが出てくるイメージは湧くのではないでしょうか。

この通りなんですが、上がって下がる、もしくは下がって上がるようなパターンだけで比較するのはおかしいと思いませんか?

上昇トレンドや下落トレンドはどうなのよって話です。

「リスクが高いから資産形成に向かない」は理解できる

長期の資産形成をするうえで、どれくらい値動きが激しいかは重要な要素です。レバレッジ2倍にした商品は値動きも2倍ですから、毎日の損益が大きく動くと不安になる方もいるでしょう。

また、資産形成の後、例えば老後になって資産を取り崩すときに値動きが大きいのは嫌だという方もいるでしょう。

単純に、自分の許容するリスクに比べて、リスクの高い商品で資産形成をすべきでないというのはその通りです。

ただし、同時に知っておいてほしいのは、個別銘柄の中には日経平均やTOPIXの2倍どころかそれ以上にリスクが高い銘柄はいくらでもあるということです。

しかも、値動きの激しさだけでなく、個別銘柄の場合は、銘柄固有のリスクもあります。例えば、経営破綻したり、不祥事を起こすリスクなどですね。

日経平均やTOPIXといったインデックスであれば、多くの銘柄に分散投資されているので個別銘柄リスクはかなり抑制されています。

分散投資されたインデックスに2倍のレバレッジをかけるのはリスクが高いから資産形成に向かない、危険だ、という主張は、少数の個別株だけを買って資産形成をするのは危険だということにもつながってしまいます。

「自分で多数銘柄に分散投資している」「超大型企業への投資だから破綻リスクは小さい」などという主張もあるかもしれませんが、いずれにしてもリスクが高いこと自体をもって、レバレッジ投資を限定的に批判するのは困難です。

「上げ下げを繰り返したら減価する」という主張

ほかに、よく批判される論理としては、「10%上がった後に10%下がったら損をするからレバレッジは不利だ」という謎のロジックです。

10%上がったあとに10%下がったら元本は割れます。100円が110円になって99円になるので1円マイナスですね。

はい、これはレバレッジがかかっているかどうかは関係ありません。

世の中がそういう風にできています。数学でそう決まっています。

1%上がってから1%下がっても同じですね。0.1円マイナスです。

10%と1%では値動きの大きさが10倍違いますから、マイナス幅も10倍違いますね。それだけです。

具体例で期待値を見てみる

超簡単な例として、1日で+10%か-10%となる株があったとしましょう。確率は上げも下げも1/2とします。1日のリターンの期待値は0ですね。

この株の2日間の想定される値動きは、上昇→上昇、上昇→下落、下落→上昇、下落→下落の4パターンです。

100円でスタートしたとすると以下の通りです。

スタート 翌日 翌々日 (損益)
¥121 (+21)
¥110
¥100 ¥99
¥99
(-1)
(-1)
¥90
¥81 (-19)

10%上がるか下がるかで、1日目は110円になるか90円になるか。さらに翌日10%上がるか下がるかで、121円になるか99円になるか、99円になるか81円になるかです。

2日後の資産は121円、99円、99円、81円の4パターンですね。いずれも確率は1/4ずつです。

この時の期待値は?

全部足して÷4すれば分かります。100円ですね。

そもそものリターンの期待値が0の株でしたから、2日経過したとしても期待値は100円のままです。

次に、これに2倍のレバレッジがかかっていたと想定します。1日で+20%か-20%動くとします。すると以下の通りです。

スタート 翌日 翌々日 (損益)
¥144 (+44)
¥120
¥100 ¥96
¥96
(-4)
(-4)
¥80
¥64 (-36)

この場合も最後の4パターンの損益を見れば期待値は0ですね。

10%上げて下げると損をする、20%上げて下げると損をする、これは当たり前の話でレバレッジとは直接関係ない話です。

レバレッジ商品を批判する人の自己矛盾

ここまでの話を理解できる人であれば、レバレッジ商品が自分にとって適切な商品なのかどうか(人によって答えは変わるものの)、判断はきっちりつけられると思います。

ここでまだレバレッジを批判したい人は次のことを考えてみてください。

毎日の値動きが指数の半分となる商品。実在しませんがあったとしましょう。

毎日の値動きが2倍となっているレバレッジ商品を「リスクが高い」とか「減価する」と言って批判するのなら、0.5倍になっている商品はむしろオススメになるのでしょうか?

元の指数連動商品よりも0.5倍連動商品の方がリスクは低いですし、減価もしにくいので、きっと謎の主張をする人達にとってオススメ商品になるに違いません。

先ほどの記事、100円からスタートして20%下がってから25%上がると100円に戻るというパターン。0.5倍商品なら10%下がってから12.5%上がることになります。この時、いくらになってますか?

こう考えると、いかに「日々の2倍連動となるレバレッジ商品は資産形成に向かない」という主張がおかしいのか分かりますね。

それではまた。