【所得代替率】公的年金と私的年金の助け合う関係。国によって依存度合いは異なる

こんにちは。YUMAです。

以前、所得代替率を国際比較した時に、一部の国では所得代替率の水準を高めるために公的年金の不足分を埋める形で、私的年金(企業型DBやDCなど)を充実させていることが分かりました。

今回はこの辺りを少し詳しく見てみます。

どこの国が公的年金への依存度が高く、どこの国が低いのでしょうか?

今回はこちらのペーパーからグラフをお借りします↓

“Presidential Address: Pension Policy and the Financial System”

DAVID S. SCHARFSTEIN

スライド資料はこちらにありました。PDFが開きます。

 

以下のグラフをご覧ください。

各国の所得代替率のうち、「公的年金による所得代替率」を横軸に、「私的年金による所得代替率」を縦軸にとった時に各国がどこに位置するかを示したグラフになります。データはOECDからです。

まず、全体として右下がりの分布になっていることが分かります。

公的年金による所得代替率が高い国ほど私的年金による所得代替率は低い傾向にある。逆も然り。

つまり、公的年金と私的年金はお互いに支え合う関係だということです。

グラフの右下の辺りは公的年金の割合が高く私的年金の割合が低いゾーンです。ここに、ポルトガル、スペイン、イタリア、フランス、ギリシャなどユーロ圏、特に地中海周りというか南欧の国々が集まっていることが分かります。

逆に、私的年金の割合が高い左上のゾーンには、オランダ、アイスランド、デンマークなどが位置しています。

米国(US)、英国(UK)、カナダ、オーストラリアなどアングロサクソン系も真ん中か少し左上でしょうか。そのほかに、スウェーデン、ノルウェー、ドイツが真ん中あたりに位置しています。

日本は??

全体の真ん中あたりではあるのですが左下の方に位置しています。所得代替率そのものが低いということになるのですが、これはOECDが把握しかねているデータがあるのかもしれません。

こうして見るとユーロ圏の債務問題が騒がれた南欧系の国々は公的年金への依存度が高いようです。ドイツはそれらと比べると少し依存度が低く、私的年金のカバーが充実しています。一方で、アングロサクソン系は私的年金への依存度が高め。

日本はその中間で、あまりはっきりとしたキャラ立ちはしていませんね。。

南欧系の国は歴史的に引退世代への社会保障を充実させてきました。公的年金依存度が高く、GDP対比で見たときの年金支出が大きいです。

↓OECDによるPension Spending (%GDP)のデータです。「公的年金支出」の大きさを表しています。

ギリシャ、イタリア、フランス、ポルトガルとまさに南欧系の国々が右側にどっさり固まってますね。

以下の記事でも書いたように南欧には日本に続く高齢化社会となる国がいくつかあります。

超高齢化社会では公的年金に高い依存度を持つ国はいずれたちゆかなくなることは明らかです。

サステイナブルな社会保障制度を目指すには私的年金の拡充が急務と言えるでしょう。

それではまた。