分散投資はリターンにも関係する。少ない銘柄数で勝負するのは不利!

こんにちは。YUMAです。

分散投資と集中投資、個別株投資とインデックス投資と言っても近いかもしれませんが、ファイナンスの世界では幅広い銘柄に分散投資することは正義とされています。

なぜなのか?固有銘柄のリスクを取らずに済むから?

それもありますが、実はリターンの期待値にも大きな影響を与えます。

今回は超重要な話で、分散投資しない投資家は不利な勝負をしているかもしれない話です。

今回はVanguardのレポート(PDFが開きます)から一部の主張を抜粋しています。

そもそも分散投資は正しいのか

ファイナンスの世界で分散投資といえば、テキストの最初の方に出てくる話です。

個別銘柄のリスクは、市場に連動するリスクと銘柄固有のリスクに分解することができます。

銘柄固有のリスクは多くの銘柄に分散投資することで互いに打ち消しあってくれます。なので、分散投資はフリーランチとも言われます。

ファイナンス理論における最も偉大なこの発見は超重要です。

分散投資するだけでリスクが減るのです。多数の銘柄への分散投資は投資の基本ですね。

でも、分散投資はリスク低減に意味があるのであって、リターンについては何も言っていません。

多数の銘柄に投資するのはいいけど、そもそもリターンが低い銘柄に投資したのではリスクが減ってもリターンも減ってしまうでないか。そう考えるのも自然です。

なので、「リスクは高くても大儲けしたいから分散投資はしない」という考え方もまた自然です。

次に市場で流行りそうなテーマ、それに関連する銘柄、こういったものを分析して3銘柄に集中投資するという人もいるでしょう。

でもきっぱり言います。その考え方は正しいですが、集中投資は不利な勝負です。適度に分散投資した方がリターンも高くなる傾向があります。

市場の大半の銘柄は負け組

なぜ集中投資は分が悪いのか?

それは個別銘柄のリターンの分布を考えれば分かります。

株式市場において市場平均を上回る銘柄は圧倒的に少なく、多くの銘柄は市場平均より低いリターンとなります。これはどの国でもどんな市場でも成立する事実です。

なぜかと言えば、株価はどんなに下がっても0円になることはない一方で、上がる場合は青天井だからです。この上下の非対称性が個別銘柄のリターンの分布を特徴的なものにします。

株式市場の中にはテンバガーと言われる10倍(リターンが+900%)になる銘柄もあれば長期では100倍になる銘柄もあります。逆に、ボロ負けする銘柄は0円にはならないのでリターンが-100%になることはありません。

このような銘柄たちで構成される市場の平均とは、一部の好成績な銘柄によって押し上げられ、その他多数は市場平均に負けやすいのです。

こちらの記事で紹介した研究も同じことを言っています↓

さて、ここでバンガードによるレポートからグラフを拝借します。米国株式市場の上位3000銘柄(Russell3000)における1987年1月~2017年12月の累積リターンの分布を表しています。

この期間の累積リターンの平均値は+387%です。一方でメディアン(中間値)はわずか+7%です。

なぜ平均値とメディアンにこれだけ差があるかというと、グラフの形状を見ればわかります。3000銘柄のうちの6~7%(180~210)の銘柄は+1000%以上の超ハイパフォーマーである一方、多くの銘柄は低いパフォーマンス、なかにはマイナスの銘柄も多くあります。

このことから、一部のハイパフォーマーが全体の平均値を上げてしまっていることがわかります。

集中投資は負ける確率を上げる

市場平均は好成績銘柄によって押し上げられるので、多くの銘柄は市場平均に劣る負け組である。この事実から分かる通り、投資する銘柄を少なくすると負け組だけで構成されるポートフォリオになる可能性が高まります。

もし市場に2000銘柄あって、そのうち1500銘柄が市場平均より低いリターン(負け組)だったとしましょう。ここで、1銘柄だけに集中投資した場合、負け組を選んでしまう確率は3/4となります。100銘柄に分散投資する場合には、確率的に負け組が75銘柄入りますが25銘柄の勝ち組も入る計算となりますね。勝ち組の中には、抜群の好成績を示す銘柄もあるので、その銘柄が負け組のマイナスをカバーできればこのポートフォリオが市場平均に勝てる可能性は高まります。

バカ勝ちを狙うには集中投資しかないが

もちろん、抜群の好成績銘柄に集中投資できれば、それが最も高い成績となって市場平均にバカ勝ちできます。

ただ、勝ち幅が大きく期待できる反面、その銘柄を選ぶ確率は低く、負ける確率は非常に高くなるのです。

分散投資した場合は、大きく勝つことも大きく負けることもないけれども、負ける確率自体を下げることができます。

まとめ

市場にあるたくさんの銘柄のうち、多くの銘柄が平均に負けてしまう負け組です。勝ち組はリターンこそ抜群に高い銘柄も稀にありますがその数は少ない、という背景があります。

これは、株価はマイナスにあることはないが上は青天井だという性質によるもので、日本でも米国でもどこの国でも同じことです。負け組が多い中で集中投資するのは負けるポートフォリオになる確率を高めます。

多数の銘柄に分散投資すれば、大きく勝つことは望めなくなりますが負ける確率は下げることができます。もちろん、ここでの話は銘柄選択のスキルについては無視しており、あくまで銘柄数の割合に基づく確率の話しかしていません。

なので、勝ち組銘柄を見分けるスキルが高い人であれば、集中投資の方が高い期待リターンとなる可能性はあります。

こう考えると、集中株投資とか厳選株投資というのは銘柄選択に並々ならぬ自信があって初めて成立する商品と言えるでしょう。

それではまた。