日本の育児休業制度は恵まれている?世界と比較してみよう!

こんにちは。YUMAです。

最近は男性の育児休業が話題になっていますね。

私も3ヶ月ほど育児休業を取得しました。

日本の育児休業制度は世界と比べても比較的しっかり整備されています。

特に男性が育児休業をとる場合、日本は国のサポートが世界一手厚い国だということを知っていますか?

今回はOECDのレポートをもとに、産休・育休制度の世界比較を紹介します。

世界の育児休業制度

日本では女性は子供が生まれる前後でいわゆる産休(産前産後休業)を合計14週間ほど取得することが決められています。

その後も、育児休業を原則として子供が1歳になるまで取得できます。育児休業は母親も父親も共通の制度設計となっており、同じ条件で取得できます。

最近、話題になっているのは父親の育児休業ですね。

OECDが世界的に概ね共通の休業制度を4つに分類しています↓

いずれも雇用(職場復帰)が保証され、給付金のある国の定める休業制度です。

Maternity leave (or Pregnancy leave)

日本で言うところの産前産後休業です。出産前後の母親を対象としています。また、国によっては養子を受け入れた場合にも適用される制度です。

ILO条約(=国際的な労働基準)では最低でも14週間とすべきことを規定しています。

Peternity leave

パタニティって言うんですね。父親のみを対象とした休業制度です。ILO条約で規定されていません。

日本にこの制度はありません。なぜなら日本の育児休業制度は父親だけに限定したものではなく、次に説明する両親を対象にした制度だからです。

Parental leave

日本にもある一般的な育児休業です。

両親を対象にした制度です。国によっては母親と父親が同時に休めなかったり、逆に両親ともに一定期間取得するとボーナス的に休業期間が延びたりする国もあります(日本のパパママ育休プラスなど)。

Home care leave (or childcare or child raising leave)

育児休業が終わったあとの休業です。

父親か母親のどちらかが取得でき、子供が2~3歳になるまで取得できます。日本にはない制度ですね。

休業期間と給付金のデータを見てみる

OECDのデータを見ていきます。

母親を対象とした休業データ

左から「Maternity leave (産前産後休業)」「Parental leave (育児休業)」「それらの合計」と3つに分かれています。

各項目ですが、Length(weeks)は国の定める休業期間を週単位で記載してます。

Average Payment rate (%)は給付率で、休業期間の給付金が休業前の給料に比べてどれだけ貰えるかを表しています。

Full rate equivalent (weeks)は横比較するための指標で、Length×Average Payment rate で計算してます。給付金が給料の100%とした場合に換算した休業期間です。例えば、休業期間が20週でも給付率が50%ならば10となります。

日本の産前産後休業では、母親は出産前に6週間、出産後に8週間の休みをとることとなっています(双子の場合はさらに長くなるが)。なので、Maternity leave の数値は14です。

産休中は98日間の間、給料の2/3が支払われるのでAverage Payment rate は67%となっています。

Parental leave (育児休業)の方を見てみましょう。原則として子供が1歳になるまで取得可能なので、最大値として44週間(=308日)です。52週間(=1年)-8週間(=産後休業)で44週間(=308日)ですね。

この間、最初の180日間は給料の67%が給付金として国から支払われ、その後は50%が支払われるのでAverage payment rate は約6割(59.9%)となっています。

産休と育休の合計で国際比較するとどうでしょうか?

Length × Average payment rate であるFull-rate equivalent (weeks) で比較すると、最大なのはエストニアで84.4。次いでハンガリー(68.2)、リトアニア(62.0)となっており、小さな国の方が恵まれていそうな印象です。

北欧諸国は手厚そうなイメージですが実際はそうでもありませんね。欧州主要国もほどほどです。こう見ると日本はけっこう恵まれている方です。怖いのはアメリカで全てがゼロとなっています。

父親を対象とした休業データ

左から「Paternity leave (日本にはない父親のみ対象の休業)」「Parental leave (育児休業)」「それらの合計」と3つに分かれています。

項目は同じくLength(休業期間)、Average Payment rate (給付金が給料に占める割合%)、 それらを掛け算したFull rate equivalent (weeks)です。

母親を対象にした制度と比べるとどの国でも圧倒的に休業期間が短いです。

日本はPaternity leave はゼロ。制度がないためです。一方、Parental leave (育児休業)は52週となっています。これは子供が1歳になるまで取得可能なので最大1年=52週間という意味です。

日本のAverage payment rate は58.4%となっています。これは、育児休業取得からはじめの180日間は給料の2/3が育児休業給付金として給付され、その後は1/2が給付されるため、52週間の育休を取得すると平均で58.4%が給付されることを意味しています。

合計の休業期間を見ると、日本が52週で韓国の52.6週に次いで2位です。この2か国は飛び抜けていますね。

給付率も考慮するため、合計のFull-rate equivalent (weeks)を見てください。日本は30.4週と世界一の長さです。1年休んでる間に給料の58.4%もの給付金(しかも非課税)が受け取れるのはすごいことですよね。

父親が育児休業をとる場合、日本は世界一恵まれた国なのです。

日本は制度的に恵まれているが

父親を対象とした休業データをグラフにしたものです↓

日本は父親が育休をとるための環境としては圧倒的に恵まれています。

背景は分かりませんが、やはり早くから少子高齢化への問題意識が他国よりも高かったことは間違いないでしょう。

しかし、実際には父親の育休取得はなかなか普及していませんね。理由を考えると、日本人のサラリーマンとしての古い考え方が邪魔しているように思います。

「周りが働いてるのに自分だけ休めない」「休んだら社内の評価が下がるかも」このようなマインドが邪魔しているのでしょう。

制度をいくら整えてもマインドを変わらない限りはこの状況は変わらないと思います。

じゃあどうするか?

やはり最近になっていくつかの大企業や官庁が進めているように、半ば強制的に男性の育児休業取得を促していくほかないのかもしれませんね。

それではまた。