初めての「鷹狩り」体験。カルガモが獲れたので美味しく食べました!

こんにちは。YUMAです。

親戚に、鷹を飼っていて鷹狩りが趣味という人がいます。

私はかねてから鷹狩りに限らず「狩り」というものに興味がありました。いや、狩りだけにも限りません。家庭菜園や釣りなど自然から自分で食料を調達すること、それらを料理することに漠然とした興味があるのです。

もちろん、狩りなどはやったことも見たこともありません。ただ、ずっと興味は持っていました。今回は機会があり、念願の鷹狩りに同行してきました。

(今回の記事には鴨の血や肉や解体の画像がありますのでご注意ください)

初めに言っておくと、今回の鷹狩りは全て親戚の人が特別な訓練を受けてルールに則って行っています。私は同行して終始見学していただけです(笑)

オオタカとカモ

場所は千葉県の某所。オオタカを連れて車でポイントに向かいます。

 

オオタカ(wikiより)。画像クリックで別タブでwikiに飛びます。

野生で育っていないオオタカは訓練によって狩りを覚えます。野生で育った期間や訓練された期間に応じて狩りの能力に差が出てきます。勿論、野生度合いが強いほど狩りは上手。

狩りの前には腹ペコ状態にしておく必要があります。

今回の狙いは鴨(カモ)です。キジを狙う人もいますがキジはカモよりも神出鬼没のため捕えるのが難しいとされます。

カモにはマガモ、カルガモ、コガモといった種類があり、いずれも猟で獲ることが許可されている種類です。以下、画像をクリックすると別タブでwikiに飛びます。

マガモ(wikiより)。鮮やかな色がオス。公園でもよく見かけるカモですね。
カルガモ(wikiより)。公園などによくいる見慣れたカモ。マガモと同じく足がオレンジ色。オスとメスの違いは分かりにくい。
コガモ(wikiより)。マガモやカルガモより小さく素早いので捕えるのが難しい。

オオバンという鳥もカモとよく一緒にいることが多いです。が、これは猟で捕獲することが禁止されています。コガモと同じかさらに小さく、全体が黒っぽく首が少し細長いのが特徴です。オオバンは小さめなので食べられるところが少ないそうです。かつては高級食材だったそう。

オオバン。写真では分かりにくいが泳いでいる姿はほぼカモと同じ。色が黒く首が長いので違いは分かる。狩猟は禁止されている。

カモもオオバンも川や湖などの水辺にいます。いずれも1羽でいることはなく、少なくとも2羽の番(つがい)かそれ以上の群れでいます。

カモの狩りにはルールがあります。

狩猟時期:地域によりますが多くのエリアで11/15~2/15の3か月間が許可されています。

狩猟場所:国や自治体が保護区などと指定しているエリアではNGです。それから公園内も当然NG。人通りが多いところも避けます。

種類:マガモ、カルガモ、コガモは狩猟OKですが他にも細かく規定されています。バンはOKだけどオオバンはNGです。

そんなことを教わりながら車でポイントに到着しました。今日はカモの居るポイントをいくつか周ります。1羽でも獲れれば退散予定です。

現場での狩り

カモは川など水がある場所にいますが人間の姿を見ると警戒します。これはある程度仕方ないですが、もし人間と一緒にオオタカがいたら一瞬で逃げてしまいます。なので、あまり川辺の傍を歩かずに少し離れて、カモからこちらのオオタカの姿が見えないようにして川沿いを歩きながらカモの群れに接近します。

川幅が広すぎるとオオタカが獲りに飛んでいる間にカモに逃げられてしまうので、川幅の狭いところの方が成功率が上がります。また、川沿いに背の高いススキなどの草があるとカモからは見つかりにくくて良いのですが、オオタカが一直線に飛ぶことができないので鷹狩りには向きません。オオタカとカモの最短距離上に障害物がないのが条件です。

また、土手の歩道が水面よりも高いところに位置する川が望ましいです。カモは水の中に潜るか空中を飛んで天敵から逃げますが、水の中に逃げられたらオオタカにとっては追えません。狩りは失敗です。カモがバタバタと空中に飛び上がって飛んで逃げようものならオオタカは空中で瞬時に追いかけて足でガツっとカモを捕らえます。なので、飛び上がったカモを狙う場合、最初から少し高位置の歩道から下にいるカモを狙った方が成功確率は高くなるのです。

カモの群れに近づいたらオオタカを「投げます」。投げるというのは、人間の腕の上に乗っているオオタカを飛ばせるために、ちょうどサイドスローのピッチャーのように腕を大きく振りかぶってオオタカを獲物に向かって飛ばせることです。すると、訓練を受けているオオタカは超スピードでカモの群れに狩りに飛んでいくのです。

奥に小さく見えるのがカモの群れ。経験的にここのカモは警戒心が強く成功したことがないそうです。オオタカもそれを分かっているので本気で獲りにいかない。

さて、そんな事前説明をしてますが、ポイントを複数周ってみるものの、なかなかカモがいません。。。

同じ年に同じ場所で何度も狩りをすると、カモも危険を学習して群れの場所を変えます。今年はまだ狩りシーズンが11/15に開始して2週間程度ですが、早くもカモは学習したのでしょうか。

カモもなかなか頭が良いので、犬の散歩をしたりジョギングしたりしている人が川の傍を通ってもあまり警戒しないのですが、鷹狩りの格好をした人間が視界に入ると途端に警戒します。しかし、今回はそもそもカモがいないポイントばかり。。どうしたことか。こんなことは初めてだそうです。

なかなかカモが見つからず、いても障害物があったり距離が遠かったりでオオタカを投げるチャンスがありません。

昼ご飯を食べた後、最後に周るポイントはまだ狩りを1回しかしたことがないので場が「荒れていない」。カモが沢山いる可能性が高い場所です。

ゆっくりと川沿いを歩いてみると、、沢山のカモがいました。

ようやく見つけたカモの群れ

コガモが殆んどですが、なかにはカルガモの群れもいます。

そーっと近づきます。カモとの距離が近づいたところで歩道からオオタカを勢いよく投げます。

一直線にオオタカが飛んでくるのでびっくりしたカモの群れがバサバサッと飛び上がって逃げようとします。一般的に水鳥は水面から飛び上がる時の初速が遅いのです。逃げ遅れたカルガモの1羽に向かって狙いを定め、オオタカが猛スピードで向かっていきます。カモは空中を飛んで逃げようとしますがオオタカも瞬時に方向を変えて追いかけ、鋭い足の爪で獲物を掴みます。

見事にカルガモを捕らえました!

驚いて飛び立って逃げるカモの群れ

鷹狩りの邪魔をしてはいけないので狩りの最中の写真に撮れていません泣 (´;ω;`)

獲物を捕らえたオオタカはそのまま水面にカルガモと一緒にゆっくりと落下しました。川の真ん中に落ちても鋭い足爪で獲物を掴んでおり決して放しません。オオタカは浮かんでおり水面から体の半分が見えますがカルガモは水中で見えません。

1~2分して獲物がぐったりしたのでしょう。獲物を掴んだままのオオタカが水面を真ん中から川岸にゆっくりと泳いできます。

鋭い爪でカルガモの頭をしっかりと掴んでいます。

川岸に到着したところでオオタカとカルガモを引き上げました。引き上げてからも5分ほどはガッチリと獲物を掴んだまま決して放しません。オオタカの興奮状態が覚めてからエサをちらつかせると獲物をようやく放しました。

カルガモ。弱っているが心臓は動いている。暴れたり逃げないように翼を交差して固定しておく。
羽を広げて水分を乾かしているオオタカ。

カルガモの処理と調理

カルガモはダメージを受けて気絶していますがまだ生きています。首のあたりをオオタカに突かせて傷つけます。血が出るのを確認してからカルガモの足を持ち上げて逆さまにして「血抜き」をします。カルガモが生きている状態で血抜きをするのがポイントです。ポタポタと血を垂らしながらやがて絶命します。

首を下向きにして血抜きを行う。ポタポタと少しずつしか血は出てこない。

ぐったりしていたカルガモですが絶命する瞬間に断末魔、バタバタと1~2秒大きく暴れてすぐに息絶えます。

息絶えたカルガモの腹をハサミで少しだけ切り、腸を抜き出します。腸が最も早く痛むからです。

腸を抜き終えたらそれ以降の処理は後で行います。オオタカの羽根に着いた水分を拭きとり乾かしてから帰りました。

その後の処理としては、まずカルガモの羽根を全てむしり取り、それから首を切断します。足も腿から切断して「モモ肉」を取り出すと、胴体はラグビーボールのような形となります。

背中側から包丁を入れてさばくと胸肉とささみが見える。

ここからはちょうど魚を3枚におろすようなイメージで、包丁で丁寧に「胸肉」と「ささみ」を片身ずつとりだします。

砂肝、心臓(ハツ)、レバー、肺

その後に、胴体の中心にある「心臓(ハツ)」「胆のう」「砂肝」「レバー」「肺」などを指で引き出せば、「鶏ガラ」だけが残ります。

残ったのは骨(鶏ガラ)

今回は新鮮なので砂肝を生で食べました。

砂肝を半分に。黄色い部分は砂が入る部分なので取り除く。
本日ゲットしたカルガモの砂肝の刺身

胸肉とモモ肉(かなり固い)は人間が食べます。他の部分はオオタカに食べさせるエサとなります。レバーと心臓も食べたかったけど功労者であるオオタカにご褒美あげないとバチが当たりますね(笑)

という流れで鷹狩りとカルガモの食事が終わりました。とっても面白い経験でした。

猟に興味を持ったきっかけ

千松信也さんという方をご存知でしょうか?Twitterもやってます。

京都で個人で「罠猟」をされている方で、家庭を持つサラリーマンとして働きながら山に罠を仕掛ける手法でイノシシやシカの猟をしています。猟銃などは一切使わずワイヤーで手作りの罠を仕掛けるのです。千松さんは捕獲した獲物は基本的に食用とし、それを売ることはしないそうです。

生物の命を頂くということに対して、一本の軸、とても真摯で立派な哲学を持っていらっしゃる方で、書籍を出したり講演されたりしています。かつてNHKのドキュメンタリー番組で千松信也さんを知るきっかけがありファンになりました。

それではまた。