こんにちは。YUMAです。 今日、エメラダ株式会社からエメラダ・バンクについてプレスリリースが出ました。 エメラダは…
【初心者向け】投資信託が受け取る配当は基準価額にどう影響する?配当落ちは?
こんにちは。YUMAです。
株式の配当が支払われる仕組みをご存知ですか?
配当が貰えると気持ちとして嬉しいのですが、実際にはその株式の価値は配当の分だけ下がります(配当落ちする)ので、トータルでの経済的な価値は変わっていません。
詳しくはhiroakitさんのブログ記事が参考になります。
投資信託にはたくさんの銘柄が含まれていますが、投資信託が受け取る配当はどうなっているのでしょうか?
株価が配当落ちした分だけ基準価額も一緒に下がってしまうのでしょうか?そんなことにはなっていないので安心してください。
まずは、配当の仕組みからです。
配当の権利確定日
トヨタの期末配当の例で見てみましょう。
トヨタの本決算は3月末で、配当の権利確定日は同じく3月末(去年ならば2017年3月31日)です。
権利確定日とはそのままの意味で、「配当を受け取る権利が確定する日」のことです。
権利確定日である3/31(の大引け時点)にトヨタ株を持っていた人だけがあとで配当を受け取れます。
では3/31に慌ててトヨタ株を買えば権利が貰えるかというと、決してそうではありません。
3/31にはトヨタ株の買付けの受渡しが済んでいる必要があります。
- 約定日
トレードをした日のこと、つまりxx円で株を売買しましたという約束を定めた日のこと
- 受渡日
約定した株券を実際にお金と交換(受渡し)する日のこと
Amazonでの買い物に例えると、クリックして発注した日が約定日で、宅配便が自宅に届いて代引支払いをする日が受渡日です。
日本の株式市場では、株の約定日(T)の3日後が受渡日(T+3)となっています。
つまり、3/31にトヨタ株を保有して配当の権利を貰うためには、遅くとも3日前の3/28にトヨタを買付けのトレードを済ませておく必要があるのです。
配当の権利落ち日
配当を貰う条件は3/31時点でトヨタ株を保有しているかどうかです。
3/28にトヨタ株を買い付けていれば3/31に受渡しがされるので、3/31の権利確定日にトヨタの株主として記録され、配当を受け取る権利が貰えます。
では、このとき3/29のトヨタの株価はどうなっているでしょうか?
配当が110円貰える権利には当然110円の価値があります。
ということは、配当の権利が貰える3/28のトヨタ株と、権利が確定した直後である翌日のトヨタ株には理論上110円の違いが生まれます。
理論上は、3/28時点で買付をしていた投資家は「トヨタ株+配当の権利」の価値を買ったのに対して、翌日に買付をする投資家は「トヨタ株のみ」を買ったことになります。
したがって、トヨタの株価は3/29の寄り付き時点で3/28から110円下がって取引されることになります。
昨日のトヨタ株に比べて1晩で配当権利が落ちてしまったので、その分株価が下がってしまうんですね。
もし、トヨタの配当だけを貰いたいという人がいたならば、3/28の大引け間際にトヨタ株を買い付けて、3/29の寄り付き直後にトヨタ株を売るでしょう。
この場合でも3/31の株主にはなっていますので配当の権利は貰えますが、3/29にトヨタ株を売るときには権利分(110円)だけ株価も下がっているので、トータルで得することはできないんですね。
基準価額は配当落ちを未収配当金で調整する
TOPIXに連動するインデックスファンドを考えましょう。
TOPIXに採用されているほとんどの銘柄はトヨタと同じく3月末決算です。したがって、多くの銘柄は3/29に権利落ちして配当分だけ株価が下がります。
インデックスファンドの基準価額も一緒に下がってしまうのでしょうか?
そんなことはありません。
例えば、トヨタが3/29に権利落ちすることが分かっているので、権利落ちして理論上110円だけ株価が下がるのと同時に配当金110円相当を未収配当金としてファンドの純資産に計上して、基準価額を底上げします。
こうすることでトヨタの株価自体は配当落ちでガクッと110円くらい下がりますが、基準価額は下がらずにスムーズな値動きをすることになります。
未収配当金は「未だ収入となっていない配当金」なので実際には使うことのできない現金です。企業会計の売掛金みたいなものです。
実際に配当金が入ってくるタイミング(3月末決算銘柄なら5月後半から6月頃)で、本物の現金に置き換わります。
まとめ
配当は受け取る権利が確定すると同時に株価が同じだけ下がるので、トータルでは得も損もありません。
配当によって投資家の保有する証券の経済価値は変わらないので、基準価額も変化しないように未収配当金を計上することで対応しているんですね。
投資信託で株の配当落ちに相当するのが、分配金落ちです。分配金が出ると同時に基準価額も下がっているので、こちらもトータルでは得も損もないのですが分配金には20%が課税されるので、投資家としては分配金再投資の方が経済合理性は高いと言えます。
それではまた。