こんにちは。YUMAです。 この度、お問い合わせフォームから以下の記事に関連してご質問を頂きました。 そういえばちょ…
新興国ファンドの中で存在感を増していく中国A株。3段階で組み入れ増加!
こんにちは。YUMAです。
新興国株式へ投資するインデックスファンドの多くは、連動するベンチマークをMSCIエマージングインデックスに設定しています。世界株においてもMSCI ACWIの中の新興国部分はMSCIエマージングそのものです。
2018年の5月にこれらの代表的なMSCIの株式インデックスに「中国A株」が採用されています。中国A株?については以下にサクッとまとめてますので先にご覧ください。
現状で、MSCIエマージング指数のなかの中国A株のウェイトはわずか1%弱です。ただ、今年も徐々にこの中国A株のウェイトが増えていきます。
次回は5月のMSCIの定期入れ替えで中国A株のウェイトが増えます。3か月後に迫りましたのでMSCIエマージングにおける中国A株のインパクトをまとめておきます。
現状のおさらい
中国株には香港で取引される外国人向けのH株と、上海・深センで取引される主に中国人向けのA株があります。現状の、MSCI Emerging Index(MSCIエマージング)に含まれる中国株はおよそ30%程度ですが、そのほとんどはH株です。A株は外国人からのアクセスが難しかったため、昨年になってようやく採用されました。
MSCIは段階的に指数に組み入れていくプロセスを採用しています。
今のMSCIエマージングにおける中国A株は、本来採用される中大型株ではなく、大型株だけが先に採用されています。中型株はまだ入ってません。
さらに、インデックスのウェイトに使われる浮動株時価総額のうち、たった5%だけが採用時価総額となっています。例えば、浮動株時価総額が1,000億円の銘柄でも50億円だけが実際の計算時価総額とされて指数ウェイトが決まっています。
なので、MSCIエマージングインデックスの中ではまだまだA株の占めるウェイトが0.7%と低いのです。今後、この段階採用プロセスがどんどん進行していきます。
MSCIの組み入れスケジュール
繰り返しですが、現時点では、中国A株のうち「大型株のみ」「浮動株時価総額の5%のみ(Inclusion Factor=5%)」が採用されている状況です。
今後の中国A株の組み入れスケジュールを見てみましょう。
まず、現状の5%採用(Inclusion Factorが5%であると言います)が2019年の5月、8月、11月の3段階で20%まで引き上げられます。5月にはInclusion Factorが5%→10%、8月には10%→15%、11月には15%→20%に順次上昇します。
これは浮動株時価総額が1,000億円の銘柄が50億円と見なされていたところが、5月には100億円と見なされ、8月には150億円と見なされ、最後の11月には200億円と見なされることを意味します。
それでもまだ本来の時価総額の1/5ではありますが、現状と比べると4倍に扱われることになります。
次に、2019年の5月にChiNextに上場している27銘柄が追加で採用されます。ChiNextはJASDAQのような新興企業・ベンチャー企業がはじめに上場するような市場です。
最後に、中国A株の中の「中型株」もInclusion Factor=20%として2019年11月に採用されます。ここで168銘柄の中型株が増えることになります。
中国A株の存在感
最終的には2019年11月のリバランスを終えると、MSCIエマージングにおける中国A株は253銘柄の大型株と168銘柄の中型株で構成され、ウェイトは約3.3%になります。
MSCIによれば、Inclusion Factorを20%からさらに上昇させる予定は今のところはまだないようです。機関投資家にヒアリングするなかで、より一層A株へのアクセスが容易にならないと20%からは増えないとのこと。
そうは言ってもこのまま中国A株の市場開放が進行していけば、他の国同様にいずれはInclusion Factorは100%に到達するでしょう。そうなったときのMSCIエマージングにおける中国のウェイトは以下の通り4割を越えます。
国の偏りは増える一方で市場開放の恩恵はあるか
インデックスと言えど分散度合いは減っていると言っても過言ではありません。少なくとも国レベルのリスクは偏りが増えます。
先進国においても米国が6割のウェイトを占めるわけですが、新興国においても中国のウェイトはゆっくりとですが増えていくことは間違いありません。
ただ、これまで資本規制のかかっていた市場がグローバルに開放されるということでもあります。
投資家のお金が流入するという直接的なメリットだけでなく、企業のガバナンスが向上したり効率的なプライシングがなされたりと間接的なメリットもあるため、中国株にポジティブな影響も大きいと言えるでしょう。
新興国全体、つまりMSCIエマージングに投資するということは、このような中国の状況とそれを扱うMSCIのルールの背景があり、様々なメリット・デメリットがあるのだと知っておくことは大事だと思います。
それではまた。