MSCIのTotalReturnの配当再投資タイミングはTOPIX配当込み指数とは1日ズレている(前編)

こんにちは。YUMAです。

少し前にTOPIX配当込み指数における配当落ちの処理(どのタイミングでどうやって再投資されているか)を解説しました。

簡単に言えば、「配当落ち日の前日の終値から予想配当(配当落ち分)を引き算して調整」していたのでした。こうすれば、ガクッと配当落ちが起きてもリターンがガクッと下がることにはなりませんね。

詳しくはこちらをご覧ください。

これを理解したうえで、MSCIの配当込みリターンはどうなっているのかを見ていきましょう。

MSCIのメソドロジーをもとに解説します。

長くなったので2回の記事に分けます。

MSCIのTotal Returnとは?

まず、ネーミングですがMSCIでは配当込みリターンのことをTotal Returnと言います。配当を含まないリターンはPrice Returnと言います。

The amount of an announced regular cash distribution is reinvested on the ex-date of such distribution on its principal exchange.

MSCIでは配当はex-dateに再投資されるとしています。

では、ex-date とは何か?

Ex-date – the first day on which, if an investor buys the security, the security no longer carries the right to the declared dividend.

配当の権利が受け取れなくなる最初の日、ということなのでこれはいわゆる配当権利落ち日を意味します。

以下、ex-date とは配当落ち日のことです。

また、MSCIのメソドロジーによれば、日本株は諸外国と比べると若干特殊のようで以下の記述があります。

Many Japanese companies declare their dividends after the ex-date. As estimated dividends are available before the ex-date and are broadly used, an estimation of the dividend is reinvested on the ex-date. When a company does not declare an estimated dividend, MSCI uses the previous year’s dividend amount from the same period as the estimation.

簡単に言うと、

  • 日本企業は配当落ち日(ex-date)の後に配当金額を確定する
  • なので配当落ち日の時点で予想配当を再投資して計算するのが一般的
  • もし、予想配当を企業が公表していないときは、は前年同時期の配当を使って再投資したものとしてMSCIはリターンを計算する

この辺りはTOPIX配当込み指数とほぼ同じ計算方法ですね。

ただ、MSCIにはTOPIXと違うタイプの配当込みリターンがあります。

種類がGROSSとNETの2つに別れているのです。

GROSS RETURNとは

Total Returnのうちのグロスリターンとは、配当課税が一切かからないとしたときの配当込みリターンのことです。

正式なメソドロジーからの抜粋↓

This series approximates the maximum possible reinvestment of regular cash distributions (cash dividends or capital repayments).

可能な限り最大の配当を再投資、という説明ですが、要は配当課税なしと思ってください。

NET RETURNとは

これに対してネットリターンとは、課税された後の配当を再投資した場合のリターンです。

This series approximates the minimum possible reinvestment of regular cash distributions.

MSCI uses different withholding taxes depending if the indexes are international or domestic:

〈International indexes〉 the maximum rate applicable to non-resident institutional investors who do not benefit from double taxation treaties.

〈Domestic indexes〉the maximum rate applicable to resident institutional investors.

じゃあ配当にどれだけの税率が課せられるの?という話ですが、課せられうる最大の配当課税がかけられたと想定するのがネットリターンです。

可能な限り最小の配当を再投資、という表現があるのは、配当課税を最も保守的に扱う(最も税金で引かれる)ということを意味しているのです。

Total Return の計算定義

MSCIのインデックス計算メソドロジー(PDF)を見てみましょう。

以下の式によってリターンが計算されます。

こちらは、t日におけるUSD建てのグロスの日次リターンの定義式です。

右辺の分母は、ある証券のt日初時点の時価総額です。通常は前日の終値時価総額です。

右辺の分子は、t日の終わりの時価総額+配当インパクトを表します。

配当がない日なら配当インパクトはゼロ、分子はt日の終値時価総額そのものです。

配当がある場合は、t日に配当落ちが起きて時価総額(株価)がガクッと下がりますが、その分の配当額が配当インパクトとして足し込まれるので不連続なリターンとなることはありません。

前日終値が100ドルの株があったとしましょう。今期の1株配当は5ドルとされています。t日に配当落ちが起きて、終値が96ドルになっていたとした場合のt日の日次グロスリターンはいくらでしょうか?

(96 + 5)/100=1.01ですから、+1%が正解となります。

ここまでは普通ですね。

 

長くなったのでTOPIXとの違いについては次の記事にします。

それではまた。