【ファクター投資】低ボラティリティ投資とは?

こんにちは。YUMAです。

ファクター投資の中で最も歴史があるものと言えばバリュー投資か小型株投資だと思いますが、それに負けないくらいに有名な低ボラティリティ投資を紹介します。

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低ボラティリティ投資とは

ファイナンス理論で使うボラティリティとは資産のリターンの標準偏差のこと、つまりリターンのばらつき度合いのことです。リスクと言ったら多くの場合はボラティリティのことを指します。

期待リターンが同じ銘柄でも大きく上がったり下がったりする銘柄よりは安定的に推移する銘柄の方がリスクは低いと言うわけです。

低ボラティリティ投資とは、文字通りボラティリティの低い銘柄に投資することを言います。リスクの低い銘柄への投資とも言えます。

市場ベータが低い銘柄への投資は低ベータ投資などと分けられたりしますが、基本的には同じ理論背景に依っています。市場ベータについてはこちら↓

なぜリスクが低い銘柄の方が成績が良いのか?

(出所)MSCIウェブページ

詳細は割愛しますが、上のグラフはMSCIのMinimum Volatility Indexを通常のマーケット指数と比較したものです。対象は先進国株式市場です。

ボラティリティの低いポートフォリオは市場平均を圧倒しているわけですが、特に下落相場での下落を抑えることで長期の優れたパフォーマンスを生み出していることが分かります。低リスクなポートフォリオなのでシャープレシオなどで見るとその優位性はさらに明示的に分かることでしょう。

CAPMなどファイナンスの根幹をなす理論では、リスクが高いほど期待できるリターンも高いこと(ハイリスク・ハイリターン)が当たり前とされています。普通の人はリスクを嫌うという前提からこのような結果が導かれます。

低ボラティリティ投資はその逆です。

ローリスク・ハイリターンの関係があるから有効な投資スタイルなのです。

なぜでしょうか?

理由は様々ですが最も支持される理由は次のようなものです。

レバレッジ制約

多くの投資家はレバレッジをかけることができないという背景によるものです。

例えば、個人投資家だと先物やオプションなどを使いこなせる人はわずかです。また、公募投信や年金基金などもレバレッジを使わない運用制約のあることが多いです。

すると、株式市場が上昇すると思う局面では個人投資家もファンドマネージャーもリスクの高い銘柄をたくさん保有したいと考えます。その方が上昇相場に乗れるからです。

結果として、リスクの高い銘柄に選好が偏ることから、ボラティリティの高い銘柄は基本的に割高にプライシングされているというわけです。

投資家の宝くじ的な選好

個人投資家は大化けする銘柄を好むという行動バイアスが背景です。

ちょっとした相場変動や環境変化で暴落することもあるけど、ひとたび追い風が吹けば一発逆転できる。そんな銘柄、頭では投資すべきでないと分かっていても、ついつい手を出してしまうのが株式投資の怖さです。

結果的に、そのようなギャンブル性のあるボラティリティの高い銘柄に選好が集まるため、割高にプライシングされているという理屈です。

ファクタープレミアム?アノマリー?

レバレッジ制約と宝くじ選好のどちらにせよ、投資家の非合理性・行動バイアスが関係していると考えられます。つまり、伝統的なファイナンス理論では捉えきれない要因があると考えられています。ハイリスク・ハイリターンになってない訳ですから当たり前ですね。

すると、低ボラティリティ投資とはリスクをとったことで報われる類いのファクターリスクプレミアムではなく、市場のアノマリー(異常)を捉えたファクターと言えます。

世の中には様々なファクター投資がありますが、解釈や背景によってリスクプレミアムなのかアノマリー投資なのかに分類されるのは面白いところです。

もちろん、低ボラティリティ投資をリスクプレミアムから説明する研究もあります。が、個人的にしっくりくるのはアノマリー投資による説明でしたのでこちらを解説しました。

それではまた。