【入門編】株式投資における市場ファクターとは何か?

こんにちは。YUMAです。

ファイナンス理論で出てくるファクターについて株式投資に絞ってまとめます。

ファクターとは

そもそもファクターとは日本語で「因子」などと訳され、何らかの現象の起因となった物や構成要素を指し示す言葉です。

ファイナンスの世界では、資産にリターンをもたらす特徴およびリスク(=リスクファクター)といった意味を持ちます

例えば、明日のトヨタの株価が変動するのにどんなファクターが影響するでしょうか?

為替レート、金利、自動車セクター全体の値動き、前日の米株市場の動きなど、考えれば無数に出てくるでしょう。これら一つ一つがリスクファクターと言えます。

実際には、トヨタの株価変動の大部分を説明するファクターもあれば、ほとんど影響しないファクターも多数あるわけです。

市場ファクターとベータ

影響しそうなファクターは無数。とは言っても、最も大きな影響を持つファクターが気になりますよね。

多くの銘柄にとって最も影響力のあるファクター、それは株式市場そのものの値動き(市場ファクター)です。日本株で言えばTOPIXの値動きと思ってください。

ほとんどの銘柄は市場の上げ下げにある程度連動しますよね?それはその他のファクターよりも圧倒的に影響力が大きいはずです。

ある銘柄が市場ファクターにどれだけ振り回されるか、この市場リターンへの感応度のことをβ(ベータ)と言います。

βは市場リターンの何倍くらい値動きするかを平均的に表したリスク指標です。

βが1よりも大きい銘柄はTOPIXが上がるときにそれ以上に上がりやすく、下がるときにはより大きく下げます。

例えば、電力・ガス会社やNTTのような通信会社はディフェシブ銘柄と言われますが、これはβが1より小さいということと同じ意味です。

株式リスクプレミアムは市場ファクターのプレミアム

市場ファクターへの連動性・感応度をβというリスクで表します。

ファイナンス理論で最も基本的なファクターモデルでおるCAPM(資本資産価格モデル)によれば、個別銘柄のリスクは「β要因」と「それ以外の個別銘柄要因」に分けられ、後者は分散投資をすることで消すことができるとされます。

銘柄同士の特有のリスクはお互いに無相関なので、多数銘柄に分散投資すればお互いに相殺するからです。したがって、分散投資されたポートフォリオにおいては市場ファクターのリスクであるβのみが重要です。

市場ポートフォリオに限らず、何らかのポートフォリオに投資を行う投資家はβというリスクを取っていることになります。

リスクを取っている投資家には何らかの見返りがあって然るべきです。何も見返りが無いのならわざわざ誰も投資なんてしません。

この見返りこそが市場ファクターに対するリスクプレミアムです。

株式投資をする=市場ファクターのリスクを取る=βリスクを取る。これらは同じ意味であり、株式投資が報われるのは、このような誰も好き好んで取りたくないリスクを取ることによって報酬、つまりプレミアムが支払われるからです。

まとめ

株式投資だけを取り上げても様々なリスクファクターがあります。最も基本的なファクターが市場ファクターです。

市場ファクターは株式市場の値動きに振り回されるリスクであり、このリスクにプレミアムがあるということこそが、株式投資をすると長期では儲かるということの理論的な裏付けとされているのです。

それではまた。