こんにちは。YUMAです。 過去の記事のデータを2018/12時点に新しくしました。 インデックスファンドという言葉…
【初心者向け】時価総額加重インデックスとは?実際にはBUY&HOLDではない
こんにちは。YUMAです。
インデックスファンドは連動対象指数であるベンチマークに連動する商品です。
それに対して、アクティブファンドはベンチマークを上回る投資成果を目指す商品です。
株式のベンチマークに使われるのは、TOPIXやS&P500やMSCIコクサイやMSCI Emergingといったインデックスで、いずれも時価総額加重インデックスです。
時価総額加重インデックスとはどんなものでしょうか?
一見、簡単そうに見えて実はBUY&HOLD(=一度買ったらそのまま保有する戦略)とはほんの少し異なるんですよ。
時価総額加重インデックスとは
それぞれの会社の時価総額(=株価×発行済株数)に応じて加重(=ウェイト付け)した指数のことで、TOPIXは時価総額加重インデックスです。
例えば、東証1部全体の時価総額が600兆円だとして、企業Aの時価総額が6兆円であったなら企業AのTOPIX構成ウェイトは概ね1%となります。
なぜ時価総額加重インデックス(TOPIX)がベンチマークに使われるのか
一番シンプルな理由は、東証1部全体をポートフォリオと見なせば(東証1部を丸ごと買ったと思えば)、各銘柄の構成ウェイトは時価総額ウェイトになっているから、です。
先ほどの例で企業Aの時価総額比率が6/600=1%だったことを思い出せば当たり前ですね。それぞれの企業の株価リターンは時価総額の変化率です(株数一定とした場合)。なので、仮にそれらを時価総額で加重したTOPIXのリターンが+3%だったとしたら、東証1部の時価総額は618兆円になっているはずです。
理論上は、東証1部全体の時価総額の変化率はTOPIXのリターンと等しくなるわけです(上場廃止やIPOがないとする)。
また、構成ウェイトは株価の変化で自動調整されることも特徴です。
仮に、企業Aの株価が半分になったときは時価総額も半分になっていて、TOPIXの中のAの構成ウェイトも半分になっています。なので、時価総額加重インデックスは市場全体のBUY&HOLD(買ってそのまま持ち続ける)戦略に理論上はなっているのです。
以上の理由から、市場平均リターンを東証1部の成長率とするなら、TOPIXをベンチマークとするのは自然だということになりますね。
実際にはリバランス売買が必要
上の例は、あくまでも理論上の話、分かりやすいイメージです。
実際には、これから説明するようにTOPIXは厳密なBUY&HOLD戦略ではなく、そこから少しだけずれます。
ですから、TOPIXを複製するポートフォリオ(=インデックスファンド)を運用するには少量の売買が必要です。ポートフォリオのバランスを整える売買をリバランスと言います。
投資ユニバース(母集団)
先ほどの例では、上場廃止やIPOは考えないとしましたが、実際には発生しますね。つまり、投資ユニバースが変化します。
東証1部へのIPOであれば、市場に新しい企業が入ってくるわけですから、ある特定の日からTOPIXの銘柄数は増えて、そのIPO銘柄にウェイトが付与されます。
上場廃止の場合は、ある日からその銘柄のウェイトがゼロになります。
浮動株調整係数の変更
最初の例では、企業Aの時価総額を6兆円とすると市場全体600兆円に対して1%の構成ウェイトになる、としました。これは例えであって正確ではありません。
実際には、企業Aの発行済株数のうちの2割はオーナー社長や関連会社などの固定された株主によって保有され、市場には全く出回っていないかもしれません。そうすると、本来はTOPIXのリターンで表したいのは東証1部市場の成長率なのに、市場に出回らない株が隠れていると何だか少しミスリーディングですよね。
そこで、時価総額加重インデックスには「浮動株調整」がされるのが普通です。浮動株を調整するために、本来の時価総額に「浮動株調整係数」を掛けたものを、「浮動株時価総額」として計算対象にします。
企業Aの例で見てみましょう。
浮動株とは市場に出回る株という意味です。2割が固定株主によって保有されていたので、企業Aの場合の浮動株調整係数は0.8となります(この数値は東証が決めます)。よって、企業Aの浮動株時価総額は6兆円×0.8=4.8兆円となります。
東証1部の浮動株時価総額の合計が、仮に300兆円だとすると、企業Aの構成ウェイトは4.8/300=1.6%となります。こちらの計算が、現実のTOPIX構成ウェイトの計算方法です。
この浮動株調整係数は、銘柄ごとに異なり、東証によって定期的に見直しがされます。そのタイミングで浮動株時価総額は不連続となります。0.8だった浮動株調整係数が0.7になったら企業Aの浮動株時価総額は4.8兆円から4.2兆円に一気に変わってしまいますね。
そこでインデックスファンドもリバランスが必要となります。
まとめ
時価総額加重インデックスのイメージは湧きましたか?
基本的には時価総額に応じてウェイトが決まるBUY&HOLDそのものですが、指数ごとのルールによって浮動株の調整がされたり、新規上場銘柄や上場廃止銘柄があることで追加や除外が発生します。
TOPIXであれば東証の定めたルール、MSCIコクサイなどでは指数計算会社であるMSCIの定めたルールによって、BUY&HOLDとの違いが出ます。
インデックスファンドのファンドマネージャーはそれらのルールを熟知したうえで、丁寧にリバランスを行う必要があります。そうでなくてはトラッキングエラーが発生してしまいますから。
インデックスに連動させる運用と言えば簡単そうに聞こえますが、実際には指数の算出ルールを整理しながら、最適なトレードプランを考える仕事なのですね。
それではまた。